それ言っちゃダメ! 転職の面接、致命的な5つの失言
厚生労働省によれば2018年8月の有効求人倍率は1.63倍と、1974年(1.64倍)以来の高水準をキープしています。転職希望者にとっては堅調な求人情勢ですが、油断は大敵。特に中高年の転職においては、採用企業に意図しないネガティブな印象を与えないようにしたいものです。
転職の面接には「それは言ったらダメでしょ!」というNGが存在しています。特に中高年にありがちなのが、うっかりというより自信を持ってアピールした結果、かえって逆効果となってしまうパターンです。折角のスキルや経験も、アプローチの仕方をひとつ取り違えてしまえば不採用に繋がりかねません。陥りがちな5つのパターンを例を見ながら紹介していきたいと思います。
その1 知ったかぶり
知らないことを尋ねられた時や、話題を振られた時、自分をより良く見せようと知ったかぶりをしてしまう場合があります。あいまいな知識で切り抜けられたように思えても、自信の無さが態度に現れ、面接官に見抜かれてしまいます。
そんなときは素直に「申し訳ありませんが、存じておりません」口にするのがベストでしょう。採用担当者は応募者の知識やスキルだけではなく、一緒に働く人間としての人柄も評価しています。知ったかぶりをして危ない橋を渡るよりも「誠実な人だ」と思われることの方が大切です。
その2 適切ではない業界用語、横文字の多用
面接中の会話の中で、横文字のビジネス用語や業界用語を多用する人は少なくありません。面接官は応募者の思考をより具体的に探るため、時には応募者が使用していた用語に付いて掘り下げる事があります。何気なくニュアンスで使用した言葉を「この場合、どういうことを指していますか?」と聞かれ、説明できずに沈黙してしまう、などということも起こりえます。
また、業界に特化した単語を日常的に使用する職場や業界に身を置いていると、無意識に業界用語を使用してしまう方もいます。自分のボキャブラリーだけで話をすると、「違う言語遣いの社内文化に馴染みづらい人」と受け取られてしまう可能性もあります。
そんな行き違いを防ぐ対策として有効なのが、事前のリサーチ、下調べです。応募先企業のホームページに記載された文章、経営者の書いた記事やSNSで語られている生の言葉に触れることで、企業の「言葉の文化」がある程度はつかめます。相手の文かに配慮したうえで、誰にでも通じる平易な表現で話せることの方が、コミュニケーション能力に長け、仕事ができる人だとみなされるのではないでしょうか。
その3 共感されない思想、理論を展開する
面接の場で、「これは、~さんが言っていることなのですが」と、自身の尊敬する著名経営者の名前を挙げ語ったとします。すると、面接相手の社長がポツリと、「僕は、そういうタイプの経営者はあまり好きじゃないんだよね」…その場の雰囲気が凍りつくのは言うまでもなく、そのまま不採用という流れになりかねません。
最終面接で経営者や役員の人と対話するとき、本で読んだりセミナーで聴いた言葉を引用する方がいます。ですが、これは結構リスキーな行為なのです。そうして述べた思想、理論が相手に合致するものならば全く問題はありません。むしろ好印象に受け取られるかもしれません。ですが、逆に経営者の考えに真っ向から対立してしまった場合、「うちには合わない」と判断されかねないのです。
経営者や役員といったトップ層に会う前には、SNSやインタビューの記事などをリサーチしておくことをお勧めします。面接では聞かれる側になってしまう為、面接官の人となりを知ることは難しいですが、事前準備で相手の価値観や考え方を掴んでおけばスムーズなコミュニケーションに繋がります。経営者も一人の人間。自身に付いて深く掘り下げ、理解しようとする態度には良い印象を受けるのではないでしょうか。
その4 守秘義務に違反した言動
自身が在籍中、あるいは勤務していた会社の財務内容や、はたまた新規事業戦略について話す方がいます。自分が会社において重要な情報を手にできる地位にいたことをそれとなくアピールしようとしているのかもしれません。もしくは、会社を辞めた理由として、意識せずに言及してしまうこともあるでしょう。
当然、面接官には「守秘義務違反では?」と思われます。「軽率な上にモラルが低い人物」という相当な悪印象とレッテルを貼られてしまうので、話していいことダメなことの線引きはしっかりするべきです。前の会社を辞めた理由に付いて、批判的な口調で話すのも悪い印象を与えるので注意が必要です。
その5 無駄な人脈アピール
ビジネス界で有名な方の名前を挙げ、人脈の広さをアピールしようとする方もいます。ビジネスパーソンとしてベテランであることを示す証左になれば、企業側もその人脈に期待してくれるかもしれません。ですがそれは、「ちゃんと入社した後に役に立つ」ことが条件です。応募先の企業の顧客や提携先と繋がる可能性のある人脈であれば、もちろん歓迎されるでしょう。
そういった繋がりが皆無だと受け取られてしまった場合、「確かに顔は広いけど、うちじゃ意味ないよ」と思われ、あまつさえ「こちらのビジネスを理解していないのでは」とイメージダウンになりかねません。
いかがですか?良かれと思ったアピールも、ピントがずれているとかえって逆効果になります。これらは「相手の立場に立ってよく考えること」ができれば回避できることばかり。相手にハマるアピールとは何かをしっかりと取捨選択して、チャンスをつかみ良い転職を実現してくださいね。