定年や年功序列は無くなる!重要性を増す攻めのキャリア開発
人生100年といわれるこの時代、年金や医療費の十分な給付の雲行きは怪しくなりつつあります。実際「定年後、引退してのんびりと暮らす」のは難しくなってきました。今後は定年がない、65歳を過ぎても現役、という働き方が主流となっていくでしょう。では、そんな時代に備えてどのようなキャリアを積むべきなのでしょうか?
■1つの会社に勤め続けるのはリスキー
かつての日本の雇用形態は、若い頃は賃金を抑える代わりに、勤務年数が伸びるにつれて徐々に賃金が増加し、定年退職の際にまとまった退職金を受け取れるという形でした。
つまり、「1つの会社に勤め続けるほどお得」なこの仕組みは、正社員は勤務地や職種を会社に束縛される代わりにほぼ一生涯の安定が約束され、会社側にとっても労働力として勝手の良い人材を自社に囲い込めるというものでした。
しかし経済成長率が鈍った昨今、正社員のリストラは決して珍しいことではなくなっています。非正規雇用労働者の数も大幅に増加し、正社員だからといって将来安泰とは言えなくなってしまいました。
そして正社員の身分の安定を決定的に変えそうなのが「定年の消滅」です。
2018年10月、政府は「70歳までの就業」の保証を企業に求める検討を開始しました。現在は「65歳まで」という制約が企業に義務付けられていますが、社会が高齢化すれば定年を遅らせることを余儀なくされるでしょう。
国立社会保障・人口問題研究所の予測によれば、2030年における日本人口の3人に1人は65歳以上。従来の年金や医療サービスによって支えるのは不可能です。今ならまだ「逃げ切れる」という考えで見積もりを立てていると、いつか厳しい状態に追い込まれる可能性も少なくありません。
この時代において、キャリアの見通しを根本的に見直すことはとても大切な意味を持つのです。
■定年消滅はチャンス!?
では「定年制度が無くなる」ことはネガティブなことなのでしょうか?見方によっては、実は定年消滅は大きなチャンスになり得ます。
転職が一般的になってきた昨今、勤務年数や年齢で人材の価値を判断する年功序列は廃れつつあります。年齢に関係なく能力やキャリアが評価されることにより、従来の仕組みでは正当に評価されてこなかった優秀な人材が、より多くの賃金を得ることができるようになるのです。
一部企業では完全に年功序列を撤廃し、「転職したらどれぐらいの値がつくか」を基準に従業員の賃金を常に時価で判断するという所もあるようです。
今後は長く勤めていれば待遇が良くなっていく「年功序列」は消え、キャリア、能力、人脈などを複合的に加味した「時価」で人材が評価される時代へと変遷していくでしょう。
一見、中高年にとって不利なように思えるかもしれませんが、そんな事はありません。現状の企業の義務である「65歳までの雇用確保」の実情は、「60歳でいったん退職させ、嘱託社員などの形で賃金を大幅に下げて再雇用する」という事例が多いからです。
時価による評価であれば、このようなシニアに対する冷遇は発生しません。先を見据えてキャリアをしっかりと積めば、65歳を超えても報酬を上げていくことすら可能になるのです。
年功序列、終身雇用といった安定が消えていく一方で、年齢や性別にかかわらず実力次第で道が拓けるようになってきています。
不安にとらわれるよりも、「やってやるぞと一念発起」がおすすめです!これからのキャリアづくりは「攻め」の姿勢が大切になるのではないでしょうか。