転職市場で自分の価値はいくら?知っておきたい「時価評価」
あなたは「自分の報酬」が「自分の価値」に見合っていると思いますか?人材確保、離職率低下のため、企業はさまざまな対策を行っていますが、なかでも賃金に対する大胆な改革を行ったサイボウズの事例をご紹介しましょう。柔軟な「働き方改革」を実施し、離職率を28%から4%まで改善したサイボウズが実施しているのは、社員に対する「常時時価評価」です。
■「自分の時価」で賃金が決まる時代
サイボウズでは「多様な個性を生かす」というスタンスを掲げ、働き手の自由な時間、場所で勤務することが可能。副業も自由です。報酬面での大きな特徴は「今転職したらどれぐらいの値が付くか」を基準に賃金が決定されるという所で、社員は常に「時価」での評価にさらされることになります。
従来多くの企業では、賃金のテーブルが設定されており若い頃は低賃金。年功序列で給料が上がっていくから我慢をしろ、と言われるのが一般的でした。とはいえ、今後は年功序列、終身雇用や定年制度は維持しづらい情勢です。サイボウズはそんな時代の潮流をいち早く察し、革新的な改革へと踏み切りました。
■重要になる「自己価値の認識」
サイボウズでは、社員が自身の賃金に納得がいかない場合、給料を上げるように交渉するケースも少なくないそうです。彼等は各々が転職サイトなどに登録をしており、絶えず自身の市場価値を客観的にチェックし続けています。
時価評価が主流になるとすれば、重要なのはしっかりと自分の価値を認識することです。適切な評価を受けるためにも、一度、客観的な人材の価値を熟知している転職コンサルタントなどのアドバイスを受けてみることも有益かもしれません。
■「副業」から「複業」へのステップアップ
最近解禁する企業が増えてきた「副業」ですが、サイボウズは副業を本業の妨げではなく、異なる業界の知識を得た人材を獲得する機会と捉えています。業界をまたいだ架け橋になるチャンスと見なしているのです。
例えばクラウドサービスの専門家が副業で農業に従事した場合。一見繋がりの無さそうなふたつでも、農業を効率化するために、ITを駆使するとしたらどうでしょう。今まで手付かずだった農業の領域にITサービスの適用が拡大され、新たな市場の開拓、新たなノウハウやスキルを持った人材の獲得へと繋がります。
「副業」から生まれる「複業」的な作用は、企業と社員双方にメリットをもたらします。合わせ技、複合的なキャリアが求められるこの時代、転職をしなくても、副業での経験を活用して自身の市場価値を高めることも可能になります。
今後、「時価評価」は主流になっていくのでしょうか。時価評価は一見厳しいように見えますが、勤務年数や労働時間よりも、純粋に能力や成果を評価します。労働生産性を評価されるわけですから、残業の時間を減らし、労働者のモチベーションをより高くするでしょう。
そもそも、日本従来の時間による評価方式では、人件費の安い国に生産力で勝つ事ができません。人工知能なども台頭し、単純な業務が代替されていく中、機械では取って代われない多種多様な経験やスキル、「複業的」な発想な持ち主の人間にこそ、高い時価が付くことになりそうです。