好かれる上司の3原則|部下と良好な人間関係を築くには?
「部下を甘やかすべからず」「心を鬼にすべし」「好かれようと媚びるな」…かつてのシビアな上下関係の中で育った中高年管理職世代の中には、いまだに厳しい縦社会的秩序を重んじる傾向のある方がいます。
しかし、実際にそんなスタンスでマネジメントをしていたらどうなるでしょう。若い世代の社員たちの心は離れ、すぐに転職していってしまいます。悪い評判が立てば、新しい人員の補充のための採用にも行き詰ってしまいます。
現代の管理職に求められているのは、若手社員と良好な関係を結び、彼らの成長を促していけるような能力です。今回は「若手社員に好かれる上司」であるための必須3原則について紹介していきます。
人として対等な関係を築く
上下関係に対してシビアで、「命令」と「統制」が重んじられてきたのが今までの世代だとすると、これからの若手との付き合い方で大切なのは「納得感」と「自由度」です。
「これは業務命令だ」と無理やり押し付けるような形ではなく、「この仕事はこういう理由でする」「なぜ君が選ばれたのか」などの部分をしっかりと説明することが大切。指示された部下にも納得感に伴って前向きな意欲がわいてきます。
相手の疑問や意見に対しても「口答え」と捉えず、最後まで聞いて「なるほどね」といったんは相槌を打ちましょう。その上で「ひとつ思いついたことがあるがのだけど言っていいか。」と返します。
大抵の場合「はい」と返事が返ってきますから、「君の言った〇〇だけど、こういう問題点が残る。その点を自分で考え、工夫してみて」とアドバイスを。上からの指示をただこなすだけではなく、自身で考える姿勢を醸成します。また「命令されている」という圧迫感が薄れ、上司に対し「自分の話を聞いてくれている」という信頼の獲得にもつながります。
話しやすい環境を作るために「聞く姿勢」を培う
若手との日常会話はなかなか難しいものですよね。世代が違えば共通点も少なく、話題に困ってしまうことも多いでしょう。あくまで仕事の仲間である以上、プライベートに踏み込み過ぎても鬱陶しく思われてしまうかもしれません。
「では、何を話せばいいのだろう?」実はその考え方が大きな間違いなのです。「何を話せばいいか」という思考を「何を聞けばいいか」という方向に転換してみてください。
よほど話術に長けた人以外は、普段の会話で部下を楽しい気分にさせることができる上司はごくわずか。それよりは相手の話したいことから掘り下げていくのがベストです。
ここで気を付けたいのは「Yes/No」で終わってしまう質問にしないことです。二択では、「はい」の一言で会話が終わってしまいます。
重要なのは「5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、何故、どうやって)」。会話が広がるような問いかけを心がけることです。慣れて来たら相手に何かを教わるような質問をしてみるのもいいかもしれません。説明したり教えたりすることは自尊心を満たし、会話の満足感を上げるものです。
3つのスキルを持ち、尊敬される人材になる
管理職に求められる実務的なスキルは3つあると言われています。それが「コンセプチュアルスキル」「ヒューマンスキル」「テクニカルスキル」の3つ。
コンセプチュアルスキルは戦略を立て、問題解決に取り組む力。ヒューマンスキルは聞く、交渉する、説得するといったコミュニケーション能力。そしてテクニカルスキルは業務を進めるための専門的な技能や知識です。
この3つを全て高い水準で持っていることが管理職の条件です。すべてにおいて高いレベルを維持できれば理想的ですが、「テクニカルスキル」の専門的能力に関しては、ときには部下がある部分で自分を上回るスキルを持つこともあるでしょう。
そんな時大切になるのが、2つ目の「ヒューマンスキル」です。分からない部分は謙虚になって教えてもらうこと。その結果、部下に受け入れられ、慕われる上司でいられるのではないでしょうか。
「尊敬」がマネジメントのキーワード
「自分の上司は仕事ができる」と部下からの信頼を集めるには、ポジションパワーに頼らない「尊敬」を原動力としたマネジメントが理想的です。仕事のパートナーとして対等に接し、困難に直面した時には相談に乗ってくれる。そして本人は「戦略・交渉・専門」の3つの力において高いスキルを持っている。そんな上司が、若手から好かれ「ついていきたい」と思わせる理想の姿なのではないでしょうか。