中高年が稼ぎ続けるための力!ポータブルスキル入門
転職や人事異動の際、それまでの自分のスキルがきちんと生かせるかどうか気になりませんか?働き方改革による雇用の流動化や、年功序列の撤廃、副業の解禁によりさまざまな働き方が可能になってきました。新しい仕事や職場にチャレンジする機会も増え始めていいます。
ミドル世代、中高年層には過去に培ってきたスキルや経験がありますが、それだけで全てに対応するのは難しいかもしれません。重視したいのが、応用力に富んだ「ポータブルスキル」です。このポータブルスキルを身に着けることが、ビジネスキャリアとしての適応力へと繋がり、ひいては長く活躍していくうえでの強みとなります。
ポータブルスキルって何?
スキル、というと一般的には「専門技術・専門知識」を連想します。厚生労働省の委託事業としてまとめられたテキストによれば、それに加えて「仕事のし方」「人との関わり方」の2つの要素を加えたものを「ポータブルスキル」と呼ぶそうです。それぞれのスキルに含まれる内容を見てみましょう。
「仕事のし方」
・課題を明らかにする(現状の把握と課題の設定)
・計画を立てる(調整事項の多寡、計画の期間などの管理)
・実行する(実際の課題遂行と進行する状況への対応)
「人との関わり方」
・社内対応(上司や経営層に対する役割)
・社外対応(顧客や取引先、パートナーとの関係)
・部下マネジメント(部下の評価や指導)
「専門技術・専門知識」は、職種や業種による固有性が高く、学習や経験を積み重ねることでブラッシュアップされていくものです。一方で「仕事のし方」は、専門知識のような積み重ねによって習得する部分の多いスキルとは異なる評価をすることができます。
過去の自分の実績や経験、強みや得意分野などを振り返ることで明確にスキルとして位置づけられる可能性があるのです。
「人との関わり方」については、積み重ねに加え書籍やビジネス情報記事などからコミュニケーション術を磨くことができます。ミドル世代のビジネスパーソンであれば、意識的に学ぶ姿勢があれば、すぐに身に着けることができるのではないでしょうか。
経験を活かそうとする人の落とし穴
「専門技術・専門知識」を体得するには、学習や経験のために相当の時間を費やす必要があります。そのため、「せっかく身に着けた専門スキルをなんとか活かそう」とこだわり、職種や業種の選択の幅を狭めてしまうことがあります。
この「もったいないから活かしたい」という、いわゆる「サンクコストの呪縛」から抜け出せなくなると、キャリアの可能性を広げる視野が狭まってしまうことがあるのです。
自分の持つ専門技術や知識にこだわることは、ときにキャリアを発展させる可能性を狭めてしまいます。その点ポータブルスキルは「仕事のし方」「人との関わり方」といった応用力の高いスキル。あなたの客観的な時価を引き上げてくれるいわば手持ちの資産のようなものです。
ポータブルスキルとともに、キャリア選びにおいてとても重要になるのが自分がどうなりたいかという「意志」。働くうえでの強い原動力となるものです。これからのミドル・シニア層の武器は、強い「意志」と「ポータブルスキル」の2つの車輪をしっかりと回すことになりそうです。
まずは「これからどのようなキャリアを作りたいのか」、「今自分に備わっている、もしくはプラスしていきたいスキルとは何か」について、自分を見つめなおすところから始めてみてはいかがでしょう。