目標を具体化する言葉「たとえば?」「そのためには?」
リーダーに必要な能力と言われたらどのようなものを想像しますか?求められるリーダーシップの形は変化しつつあります。以前には「的確な指示を出し、目標達成まで導いてくれる」そんな姿が優秀なリーダーだった時代もあります。
しかし昨今求められているのは、リーダーが全てを決めて指示をするトップダウン方式ではなく、目標、手段をチーム全体で決定していく能力なのです。
優秀な人が陥りやすいリーダーの落とし穴
「全てを決定してしまうリーダー」には、もともとが優秀な人ほどなりやすいものです。「1から10まで指示するタイプ」のリーダーの場合、他のメンバーの自己決定感が全くないので、指示通りに動きはするものの、メンバーそれぞれが納得せず動いてしまうこともあります。
結果としてやらされ感が強くなり、目標達成への意欲も高まらず、最終的に目標を達成できないメンバーが出てきてしまいます。リーダーは、たとえ目的を達成するための最適な道筋が見えていたとしても、それを全て指示するのではなく、メンバー達に己で気づかせる必要があるのです。
目標を達成するための道筋が見えているか
そもそも目的達成のための道筋が見えていないリーダーも存在します。メンバーに対して「どうすればいいと思う?」とひんぱんに尋ねるタイプの人です。メンバーに自己決定感があるのは良いのですが、答えや道筋が間違っていたら、目標達成が困難になるでしょう。
リーダーには、メンバーの考えや行動が正しいのか見分ける能力が必要です。誤っている場合に、適切なアドバイスによって彼らを導く必要があるのです。
最初からできる人はできると言い訳をするリーダーもいますが、メンバーの実力に依存しないと目標を達成できない時点で、既にリーダー自身の存在意義が無いと言えるでしょう。メンバーの考えが課題に対し正しいかどうかを本人に任せている時点で、運任せにしているのと同意義なのです。
目標を具体化するための質問
リーダーに求められる重要な役割のひとつに、メンバーの立てた目標を具体化しやすくなるような問いかけをし、各々に仕事のやり方について考えさせるというものがあります。誰かにただ指示されて仕事をこなすより、自分で決めた方法で目標達成する方が、自己決定感があり、モチベーションも上昇するからです。
個人に目標の決定を任せると、「〇〇に注力する」「△△を徹底する」などの漠然とした目標を立てがちです。そこで活躍するのが2つの質問、「たとえば?」「そのためには?」です。
「〇〇に注力する」と言ったメンバーに対して、「たとえば?」と問いかけます。本人は暫く悩んだ後に「たとえば、〇〇です」とより具体化した答えを返すことでしょう。
「△△を徹底する」と言ったメンバーに対しては、「そのためには?」と問いかけます。「そのために△△する」との答えが、まだ抽象的で具体性に欠くものだった場合は、さらに重ねて「そのためには?」「たとえば?」と尋ねるのが有効です。
「たとえば?」「そのためには?」この2つの質問は人の思考を具体化してくれる魔法の言葉なのです。
メンバー自身が答えを見つける
今のリーダーに求められるのは、より具体的な行動をメンバー自身に考えさせる能力です。「〇〇を達成する」という成果目標を、具体化する質問によって「そのために△△する」というプロセス目標に変換することで、実際のアクションや成果にも繋がりやすくなります。
ただ指示するのではなく、答えを見つけやすいように誘導することによって、メンバーの自己決定感を高め、仕事の能率を高めると同時に、自身で考えるための力、ひいては個人の成長を促します。
今回紹介した「たとえば?」「そのためには?」の2つの武器が有効なのはリーダーだけではありません。メンバー自身も、自問自答でこの2つを繰り返すことで、より目標を具体化する能力を身に付けられるでしょう。部下のマネジメントに悩む管理職の方、2つの魔法の言葉さっそく試してみませんか?