それ大丈夫?名刺や携帯…前職の情報利用の注意点
転職の際、前職での顧客データ、取引先からの名刺、携帯電話番号といった個人情報の取扱いはどんな点に気を付ければいいのでしょう?「自分が作った人間関係だし」と深く考えず、安易に利用すると大事を招いてしまうかもしれません。
特に顧客データの持ち出しについては、過去に3名の会社員が逮捕されたこともあります。旅行会社の顧客情報を計画的に持ち出した悪質なケースですが、では悪意や故意がなければ構わないのでしょうか?
その情報「誰のもの?」
重要なのは「その情報がどこに帰属しているのか」です。仮に同業種での転職の場合、顧客のデータというのは重要な資産となります。前の会社で管理していた顧客や取引先のデータを勝手に持ち出すのはご法度。では個人的な転職を行う際、自分で管理していた顧客データや名刺、各種電話番号は全て破棄した上で次の仕事をしなければならないのでしょうか?
着目するポイントはやはり、その情報がどこに属しているかという点です。それらの情報を管理しているのが、会社員や従業員一個人であるケースならば、持ち出しは基本的に問題にならないと言えるでしょう。NGなのは、情報を会社が組織的に一括で管理しているケースです。この場合これらの情報は全て会社の共有財産に該当し、その持ち出しは情報漏洩と見なされます。
例えば、競合相手に利するような形で営業機密を持ち出した場合は不正競争防止法に抵触します。紙にプリントしたりコピーしたものを持ち出したというケースでは窃盗罪に問われることもあります。加えて、前職の会社に損失が生じた場合、持ち出した当人には当然損害賠償請求がなされ、民事裁判でその責任を追求されることとなります。
ルールと倫理のハザマ…
このような法的にアウトな行為がNGなのは言うまでもありませんが、例え個人管理の元の情報だったとしても、転職時にそれらを持ち出す行為は倫理的にはあまりほめられることではありません。
円満退職をし、前の職場に迷惑をかけたくないと思うのであれば、個人的に管理していた名刺や携帯番号、顧客のデータなどは、誰にでもすぐ見られる形にしてファイリングし、「全て置いていくこと」がベストだと言えます。
立つ鳥濁さずと言いますが、前職で得た情報はあくまで組織の一員として上げた成果です。それを個人的な資産として持ち出し、利用するのはグレーゾーンだといえるかもしれません。義理を欠いた行動だ、として良くない評判の原因になることも。人脈が大切なビジネスであればあるほど、クリーンなイメージでいたいですよね。
同じ業界に転職する際は、特に配慮をする必要があります。ポイントは「情報の帰属先」がどこか。トラブルを避け、周囲の応援を得ながらビジネスを展開するためにも、手持ちの情報が転職後に利用してよいものか?今一度確認してみてください。